top of page
日本庭園

​尼歌集

​阪急武庫之荘駅

​第21回 2021/7/25
阪急神戸線の一番西宮よりの駅で、尼崎市内で乗降数がJR尼崎駅に次いで第二位。昔はヤンチャな有名中学校もあったが、尼崎の中では珍しく駅前にパチンコ屋がなく、ハイソなイメージが強い地域。駅自体は大きくないが、駅周辺には飲食店が数多くある。
​一杯飲んで仕事の疲れを癒やし、武庫之荘に帰り着いた情景を詠んだ短歌。「憂さ」と「浮く」は掛詞となっている。また、「武庫之荘」の折句となっていて、久しぶりに縦横が「むこのそう」。

武庫之荘 心の憂さを 呑む人の

​       空に今宵も 浮く月夜哉

​食満

​第22回 2021/8/10
尼崎の中でも難読とされる食満(けま)。農作物が多くとれた場所だとされている。忍たま乱太郎ではこの地にちなんだ「食満留三郎」が登場している。
​豊かな食満の夕暮れ、満ち足りた人々の頬も笑顔で赤く染まる様を詠った都々逸。「食満」と「負け(逆さ読み)」、「藻川」と「わがも(逆さ読み)」が同音異字になっている。

食満の夕暮れ

藻川を行けば

わがもの顔に

​負けぬ赤

​山手幹線

​第23回 2021/8/25
神戸の長田から尼崎まで続く主要道路。京都と滋賀にも同じ名前の道路はあるが、「山幹(やまかん)」通り」と呼ばれているのは尼崎だけ。
夕方の六甲山の美しさを感じつつ、家路を急ぐ情景を詠った短歌。「山」の「や」、「まだ」の「ま」、「感じ」の「かん」、「通り〜」で「山幹通り」を表現。

山の赤 まだ来ぬ夜を 感じつつ

​        通り過ぎゆく 山手幹線

​戸ノ内町

​第24回 2021/9/10
尼崎の最も東にあり、神崎川と猪名川に囲まれた戸内。昭和恐慌時に豊かさを求めて、多くの沖縄出身者が移り住んできた場所。
沖縄から移住していたけれど、自分のルーツを忘れず、新たな暮らしを築いていこうと苦労しながらも努力する様を詠った都々逸。「戸ノ内」の折句となっている。

時は過ぎても

後まで残る

ウチナ-ンチュの

血と思ひ

​弥生が丘墓園

​第25回 2021/9/25
一九五五年に開園した尼崎で一番大きな墓地。遺骨を入れ、埋葬して墓石を建てる現在のスタイルは、江戸後半から始まったとされる。
​夜になっても、ロウソクやお線香の火が灯っているのを見ながら、昔のあの人の姿を偲ぶ様を詠った短歌。「やよひおか(弥生丘)」の折句となっている。

闇に尚 世の名残とて 火のありて

​         思ふ昔の 彼の人の影

​名神高速尼崎インターチェンジ

​第26回 2021/10/10
一九六三年に栗東尼崎間が開通し、日本で初めて高速道路の終点とされた。名神高速としては珍しいダイヤモンド形のインターチェンジ。
高速道路の合流や車線変更、料金所など、慣れない運転での初々しさを詠った都々逸。「両→緊→徐」で「料金所」を表現している。

両の手の汗

緊張の時

徐々に近づく

​料金所

​次屋

​第27回 2021/10/25
大型商業施設が立ち並ぶ次屋(つぎや)は、市の東にある広い地域で、昔たくさんのお米が収穫されたという記録が残っている。松本五差路など特徴的な交差点もある。
角が多いというイメージのある次屋で、相合傘の二人が、次の角までこのまま降り続いて欲しいと願う心情を詠った都々逸。「次の〜」「止まず〜」で「次屋」、「次屋の宵の」で次屋を連続して表現。

次の角まで

止まずに行かむ

次屋の宵の 

秋の雨

​塚口サンサン劇場

​第28回 2021/11/10
一九五三年に塚口劇場として開館され、一九七八年には塚口サンサン劇場として再開館となる。四つのスクリーンを持ち、日本一きれいなトイレを目指している劇場。二人が幼少期から慣れ親しんだ場所でもある。
代わる代わる訪れる子どもたちの笑顔が長く続いて欲しいと願う気持ちを詠った短歌。「次〜」「交〜」「繰〜」「千〜」「燦々〜」で「塚口サンサン」を表している。

次の子も 交わす微笑み 繰り返し

​        千代の光ぞ 燦々と降れ

​末広町

​第29回 2021/11/25
阪神高速湾岸線のインターチェンジがある末広町。関西で最大級のゴルフ練習場テクノランドもある埋立地。和装の女性が持つ小振りの扇子も末広と呼ばれ、「末広がり」という先に行くほど扇子の形のように運が開けるという言葉もある。
街の発展とともに、後々の世まで皆が幸せであってほしいという願いを詠った短歌。「末広町」「尼崎」の折句となっている。

末までも 広く栄ゆる 街の灯の

​        天が下にぞ 幸くあれかし

​振り返り

​第30回 2021/12/10
​第三〇回の放送は、第一回から第十回までの放送を振り返る内容でお届けしました。
bottom of page